大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(う)3293号 判決

被告人 椙村正雄 外三名

〔抄 録〕

被告人椙村正雄弁護人Hの控訴趣意に対する判断。

被告人椙村正雄に対する原判示第一の(一)及び(二)の各事実は、いずれもその挙示せられた関係証拠によつて優にこれを認めることができ、記録を調べてみても、所論のごとく、右原判示各犯罪の主犯者は英領香港在住の翁得伝であつて、同被告人は右同人と連絡はなく、単にその指図に従つて行動したもので、関税逋脱の幇助をしたのに過ぎないものとは、とうてい肯認し難く原審の事実認定に誤のかどはいささかも存しない。又航空機に積載して貨物を密輸入し、関税の逋脱を図る場合において原判示第一の(一)及び(二)のごとく、その輸送を取扱つた航空会社及び輸送した日時を異にし、しかも各その着陸後日時機会を異にして不法に引取り各該貨物の関税逋脱を図つた場合においては、各別に関税法違反罪を構成するものと解すべきであつて、よしや、所論のごとく当初荷送人が右貨物を一括して輸送を依頼したまたま積荷の都合で二つの会社の航空機に分積せられた事実があつたとしても、このため当初依頼した貨物全部につき関税逋脱の包括的一罪を構成すべきいわれはないというべきである。しからば、原審が右判示事実について別々に関税逋脱又は同未遂罪の法案を適用し、これを併合罪として処断したのは、まことに正当であつて、これを目して法律の適用を誤つた違法ありとする主張は採用すべきではない。さらに所論にかんがみ、原審の同被告人に対する量刑を検討するに、同被告人に前科がないとしても、本件の主犯者であること、本件の罪質、とくに本件貨物の大部分が覚せい剤の原料であること、及びその数量のぼう大であること等諸般の事情を綜合して考えると、原審の量刑は重きに過ぎるものではなく、又懲役刑についてその執行を猶予する情状ありとは認められない。かくして所論はいずれも採用し難く論旨はすべて理由がない。

(中野 尾後貫 堀真)

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